社会の取り組み

サステナビリティ項目に対応する
取り組み

社会の取り組み

社会の取り組みに対する基本姿勢

PHCグループは、中期経営計画(VCP)と連動したマテリアリティ・KPI・目標値を設定しています。具体的には、「事業の発展を支えるヘルスケアイノベーションの創出」「製品の安全性と品質への責任」「サプライチェーンマネジメントの強化」「医療アクセスの改善」「活力のある組織文化の醸成」に重点を置き、グループ全体でこれらの目標を推進しています。
私たちは、ヘルスケアイノベーションを通じて新しい価値を創造し、製品の安全性と品質を最優先に考えています。高品質で最先端の製品を提供することで、新規治療法の開発や医療の質の向上に貢献します。また、新興国や途上国での市場拡大を通じて、医療アクセスの改善にも取り組んでいます。サプライチェーンの強化やそれに関わる環境や人権への対応も重要課題と捉えており、責任ある調達と供給責任の遂行に努めています。
さらに、多様な人財がいきいきと働ける職場環境を作ることが、社会に価値を届けるための基盤であると考えています。今後もさまざまな施策を通じて、従業員に活力のある組織文化の醸成を推進していきます。

精緻なモノづくりを受け継ぐ モノづくり強化大会

モノづくり強化大会 イメージ

PHCグループ全事業部が参加するモノづくり強化大会は、年1回の開催を重ね、2023年度で25回目を迎えました。松下寿電子工業時代から続くモノづくりのDNAを次代に継承する重要な大会です。本大会では、工数削減、コスト削減、品質向上、新規プロセスへの挑戦などのベストプラクティスや反省、気づきの情報を、グローバルレベルで事業部間で共有し、最後に経営陣の総評を受けています。これによって、グループ全体のモノづくりを強化し、改善活動の長きにわたる積み重ねが他社には真似できない強みとなっています。

事業の発展を支えるヘルスケアイノベーションの創出

目指す姿

経営理念にもあるとおり、イノベーションの創出は私たちの価値の源泉です。PHCグループにはこれまでに培った独自の技術がありますが、私たちは現在の技術に満足することなく、たゆみない努力によりさらに進化させていきます。一方で自社技術をかけ合わせることで新しい価値の創出に可能性がある場合は、大学や研究機関、ビジネスパートナーと積極的に協業していきます。
このようなさまざまなアプローチにより、特許や新製品・サービスを創り出していきます。

取り組み

省エネルギー性能とともに内扉への着霜の大幅低減を実現した新型超低温フリーザー「FrostLess」
ーPHCバイオメディカ事業部ー

-85℃ノンフロン超低温フリーザー「FrostLess(フロスト・レス)」は、「VIP ECO」シリーズの高い省エネルギー性能を継承しつつ、霜の発生を限りなく抑制するという長年の課題に取り組んだ新製品です。
ワクチンや細胞・遺伝子研究開発でも需要が高まる超低温フリーザーですが、製品の扉開閉頻度や設置環境によって庫内に霜が発生する場合があり、研究現場の課題の一つになっていました。「FrostLess」は、真空断熱パネル(VIP)を内扉の断熱材に付加し、断熱性能を向上させることで、内扉への着霜を大幅に低減します。これにより、除霜作業の頻度を削減し、従来機種※1比で最大約6割※2作業時間の短縮が可能となり、研究現場の作業負担を軽減します。また、エネルギー効率の高い自然冷媒と新型インバーターコンプレッサーや二次元冷凍インバータ制御※3など独自技術を活用し、1日あたりの消費電力量を7.1kWh※4に抑え、従来機種※5比で約32%の消費電力量削減を実現しました。
今後も、地球環境保全にも寄与しながら、研究現場のニーズに応える製品を提供してまいります。

MDF-DU700ZHS1-PJ(725L)イメージ / 従来機種との着霜比較※2 図
  • ※1MDF-U76V
  • ※2PHCbi社内検証結果に基づく(従来機種MDF-U76Vとの比較。環境条件=温度/湿度:30℃/80%
    稼働期間:30日 負荷:無負荷 製品扉開閉数:検証期間内合計150回、30秒/回)
  • ※3特許第6603394号取得。令和3年度関東地方発明表彰「群馬県知事賞」を受賞
  • ※4室温23℃、設定温度-80℃、無負荷におけるMDF-DU700ZHS1(100V/60Hz)の実測値
  • ※5MDF-DU700VH

株式会社サイフューズとの戦略的パートナーシップ強化による再生・細胞医療への貢献
ーPHC株式会社ー

PHC株式会社は、再生・細胞医療分野での市場拡大を目指し、株式会社サイフューズとの戦略的パートナーシップを強化しています。サイフューズのバイオ3Dプリンティング技術を活用し、神経再生や骨軟骨再生、血管再生などの革新的な再生医療製品の実用化を推進しています。PHCのオリジナルトレーサビリティシステムを活用し、高品質な生産環境と合理的な生産管理を確立し、商業化に向けた生産体制を構築していきます。

再生・細胞医療の商業化・産業化 業務提携 共同開発 PHC CYFUSE

製品の安全性と品質への責任

目指す姿

グローバルな法規制や許認可に基づく厳格な安全品質管理は、人々の安全と健康を守るために不可欠です。PHCグループでは、これらを最優先に取り組むため、製品リスクマネジメント等による安全設計や製品含有化学物質管理の推進、設計段階における法規制対応、サプライヤー監査等の推進活動をしています。また、世界法令・許認可の要求など、顧客の要望や品質ニーズを製品・サービスづくりに反映させ、有効かつ効果的なQMS(品質マネジメントシステム)を推進していくために、特に次の3点に注力しています。

  • 「お客さま起点」の
    製品・サービスづくり
  • 有効かつ効率的な
    品質マネジメントシステム推進
  • 「品質最優先」の
    意識と行動

取り組み

安全性と品質の取り組み

「品質最優先」の考え方に基づき、各事業はISO 9001やISO 13485などの認証を取得し、品質マネジメントシステムの重要要素を社内システムに落とし込んで運営しています。製造拠点のカバー率は100%に達しており、高い品質基準を維持しています。
各事業においては、品質マネジメントレビュー会議を経営層の参画のもとで開催し、品質に対して最優先の考えで取り組んでいます。“Bad news first/fast”の考えを採用し、お客さまおよび現場の従業員の声を大切にし、自主回収のような問題を予兆の段階で是正・予防(CAPA: corrective action and preventive action)できる体制づくりを行っています。
製品テストでは、新たな品質・安全性の懸念に対する予防的検査も実施しています。
また、「お客さま起点」の製品・サービスづくりを実現するため、各事業においてお客さまの声(VOC: Voice of Customer)をさまざまな仕組みで収集し、頂いたフィードバックを製品・サービス開発に生かしています。さらに、従業員研修の範囲と頻度も充実させており、全従業員が年に1回以上の研修を受けることで、品質最優先の意識と行動を徹底しています。

安全性と品質の取り組み 図

アセンシアの糖尿病マネジメント支援活動

アセンシアの糖尿病マネジメント支援活動 イメージ

アセンシアは、糖尿病コミュニティから信頼されるメンバーとして、糖尿病を持つ患者さんのためにより良い世界を目指して活動する人々や組織を支援しています。私たちアセンシアは、糖尿病を持つ患者さんを支える医療従事者やご家族の皆さんに敬意を表し、彼らをサポートする活動として、過去3年間にわたり「This is Diabetes Photo and Art Competition(糖尿病のフォト&アートコンテスト)」を開催しました。合計600点以上の応募作品を集めた本コンテストは、世界中の人々に対して糖尿病への理解を深めることの重要性を伝えています。

詳細はこちら(英語)
https://www.ascensia.com/community/campaigns/

サプライチェーンマネジメントの強化

目指す姿

PHCグループは、サプライチェーンにおいて「お客さまに価値をお届けする製品・サービスづくりのパートナー」という理念のもと、調達先企業さまと共に企業の社会的責任(CSR: Corporate Social Responsibility)を実現することを目指しています。

取り組み

CSR調達ガイドライン

国際社会からの要請を反映し、人権・労働、安全衛生、環境、企業倫理・コンプライアンス、情報セキュリティ、品質・安全性、社会貢献、マネジメントシステム等のCSR項目を明確化し、ウェブサイトにも掲載しています。これらのCSR項目を順守した事業活動 を調達先企業さまと一体となって推進することで、人権尊重、環境保護、公正な取引等の社会的課題の解決に取り組みます。本ガイドラインは、PHCグループにおけるサステナビリティ活動の“誠実な企業活動”を目指し、調達元企業さまとの協働によるCSRの実現への指針となります。

PHCグループCSR調達ガイドライン
https://www.phchd.com/jp/~/Media/phchd/sustainability/pdf/PHC_CSR_Procurement_Guideline.pdf

サプライチェーンマネジメントの取り組み

PHCグループは、主要取引先に対してサプライヤーサーベイ(CSR調達の自己評価アンケート)を実施し、回収率は90%以上を達成しました。サーベイの内容は毎年見直しを行い、適宜アップデートを行っています。また、環境監査の一環として、調達部門と品質管理部門が連携し、仕入先に対する「製品含有化学物質管理体制監査チェックリスト」を策定し、監査も実施しています。
これに基づき、PHCグループでは、取り扱う部材における仕入先側での対応チェックを行い、社会・環境に関する課題の認識と進捗状況の把握を強化しています。また、社内プロジェクトを通じてコストの最適化と環境負荷低減につながる調達の取り組みを進めており、持続可能な社会の実現に向けた努力を続けています。

PHCインドネシア 事業活動への好循環な社会貢献活動

PHCインドネシア 事業活動 イメージ

PHCインドネシアは、地域社会への貢献を通じて持続可能な未来を築くことを目指しています。約20名の有志がこの取り組みを推進しており、具体的には、近隣の小学校を訪問し、環境教育や植樹、ゴミ箱の贈呈を実施する他、ティドゥン島でのマングローブ植樹や、近隣小学校の天井や壁の補修も行っています。さらに、孤児院を訪問し、環境教育と寄付を行うなど、多岐にわたる活動を展開しています。

医療アクセスの改善

目指す姿

医療アクセスの格差は、現在のヘルスケア業界を取り巻く課題の一つです。国によって受けられる医療の質に差があるという格差の他に、先進国の中で見ても都市部と地方、過疎地でもそれぞれに差があります。
PHCグループは、さまざまな製品の新興国・途上国への拡販により、より多くの人々に医療・医薬品が届く社会づくりに貢献します。また、地方や過疎地にいながらデジタル機器を通じて都市部の医師とつなげることで、都市部と同等の診断・医療が受けられる遠隔医療の取り組みも推進し、医療アクセスの格差改善に向けて取り組んでいきます。

取り組み

Teladoc HEALTHの展望:医療機関との連携とシナジー効果の追求
ーウィーメックスー

Teladoc HEALTHは、医師主導でリモート操作可能なリアルタイム遠隔医療システムです。「あらゆる現場で、いつでも簡単につながる安心を」をコンセプトとし、専門医の少ない医療機関と遠隔地の専門医とをオンラインでつなぎます。以下のようなさまざまな遠隔医療のシーンで活用されています。

  • へき地医療
  • 周産期/新生児医療
  • 救急/集中医療
  • 災害医療
  • 感染症対策
  • 在宅医療 等

担当者の声

小暮 武男

小暮 武男ウィーメックス株式会社
デジタルヘルス事業部
遠隔医療ソリューション部
部長

遠隔医療システムの導入は、従来の医療の形を根本から変える大きな変革です。その最初の一歩を共に踏み出していただける先生方を探すことから私たちの挑戦は始まりました。単なる医療アクセスの向上だけでなく、医療の質の向上や医師の負担軽減にも大きく貢献できることを、具体的な運用を通して着実に示し続けた結果、多くの方々に理解が広まっています。特に救急や新生児、へき地医療の現場で、遠隔医療システムが重要な役割を果たした話を聞くたびに、より一層情熱を持って普及に取り組む原動力となっております。
これからも先生方と共に、遠隔医療システムの普及を目指し、医療の未来を築いていきたいと強く願っております。

高齢化や医療リソースの不足が顕在化している地域では、限られたリソースで幅広い専門領域に対応する必要があり、さらには、医師の訪問診療にかかる移動負荷も高い状況です。こうした課題解決に向けて、遠隔医療の実証実験を経て、実際の導入・運用を推進しています。
山口県徳地地域では、遠隔医療システムを搭載した医療MaaS車両「MEDICAL MOVER※6」を導入し、診療看護師が乗車し、遠隔医師の診察を受けられるようにすることで、地域住民の医療アクセス向上を目指しています。
山口県萩市の大島診療所にリアルタイム遠隔医療システム「Doctor Cart※7」を導入し、離島の若手医師を本土の上級医師とつなぎ、医療支援を行うもので、医療の質向上と医師の負担軽減が期待されます。

北海道の公立芽室病院には「Doctor Cart」と「Teladoc HEALTH Viewpoint※8」を導入し、訪問診療や救急外来での活用を図っており、地域医療の持続的な体制構築と医師の働き方改革を実現することにも寄与するものと考えています。
今後の展開としては、医療機関との連携を拡大するとともに、シナジー効果を見いだせる他社との連携にも取り組んでいきます。

MEDICAL MOVERの訪問風景 イメージ
MEDICAL MOVERの訪問風景
Doctor Cartでの会話の様子 イメージ
Doctor Cartでの
会話の様子

活力のある組織文化の醸成

目指す姿

私たちは、個々の従業員の成長こそが当社グループを発展させる原動力であると考えています。多様な人財が新たな技能・技術を学び、イノベーションを創出し、チームの一員として課題を解決し、グローバル規模で各自の成長を実感できる、活気にあふれた働きやすい職場づくりを目指しています。そのための活動方針として「多様性の尊重」「連携の基盤づくり」「人財の活性化」を3つの柱に掲げ、以下のような取り組みを行っています。

取り組み

エンゲージメントサーベイの実施
ーPHCグループー

当社は毎年、グローバルに全従業員を対象とした従業員エンゲージメントサーベイを実施しています。最新のサーベイでは回答率が89%に達し、9,900名以上の従業員がサーベイに参加しました。この回答率は前年より高く、グローバルのベンチマークを14%上回る結果となりました。各グループ会社はサーベイ結果を基に従業員のエンゲージメント向上のためのアクションを行っています。

次世代リーダーの育成
ーPHCグループー

2024年1月より、PHCグループ経営幹部育成プログラム(社内呼称:PHCアカデミー)を開始しました。国内外から選ばれた20名の参加者が、1年半にわたるプログラムに参加しています。次世代のリーダー育成に特化したプログラムにより、継続的に経営幹部候補となる人財を育成することで、持続可能な組織を構築することを目的としています。

新しいブランドアイデンティティの構築
ーエプレディアー

エプレディアは、6カ月間でブランドアイデンティティの構築からローンチまでを実施しました。顧客を対象としたブランドストーリーの調査やワークショップを通じて、エプレディアの人財と人間関係こそが競合他社との差別化ポイントであることを確認しました。製品ではなく「人」をビジュアルに据えたブランド展開を行い、製品に付加価値を与えるブランドを構築しました。

イメージ

Valueと行動基準の策定
ーメディフォードー

メディフォードでは、若手から中堅の従業員が中心となりValueと行動基準を策定しました。

メディフォードのValueについて詳しくはこちら
https://www.mediford.com/company/

担当者の声

青山 周平

青山 周平メディフォード株式会社
営業統括部
西日本営業グループ

メディフォードが設立される前は別の事業部だったメンバー同士のコミュニケーションが活発になるよう、チームビルディングにも力を入れました。今後は策定したValueと行動基準をメディフォード一丸となって体現できるよう、浸透させる活動を展開します。