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薬局・薬剤師への期待 ~令和5年度薬価改定・安定供給等特例措置の対応、令和6年度改定に向けて~

【レポート】薬局・薬剤師への期待 ~令和5年度薬価改定・安定供給等特例措置の対応、令和6年度改定に向けて~

メディコムでは薬剤師の方や薬局関係者の方を対象に、2023年2月17日に「薬局・薬剤師への期待 ~令和5年度薬価改定・安定供給等特例措置の対応、令和6年度改定に向けて~」をテーマとしたセミナーを開催いたしました。
講師には、厚生労働省 保険局 医療課 薬剤管理官の安川孝志様を迎え、講演後には薬局団体の方々からのご質問もいただき非常に盛り上がった1時間半となりました。セミナーで司会進行を務めていただいた、ドラビズon-line編集長の菅原さんに振り返っていただきました。

【講師】厚生労働省 保険局 医療課 薬剤管理官 安川 孝志 様
【タイトル】薬局・薬剤師への期待 ~令和5年度薬価改定・安定供給等特例措置の対応、令和6年度改定に向けて~

■菅原幸子 自己紹介文
老舗業界紙のドラッグマガジン社が発行する「月刊ドラッグマガジン」で編集長を務めさせていただき、薬局・薬剤師業界の記者歴は20年以上になります。2020年7月に株式会社ドラビズon-lineを起業。現在、WEBメディア「ドラビズon-line」を運営しています。厚労省の審議会や規制改革会議をはじめとした行政のほか、日本薬剤師会・日本保険薬局協会・日本チェーンドラッグストア協会などの各種関連団体の定例会見などにも、現場に足を運んで取材を続けています。

■今回のセミナーのご紹介
<セミナー内容>
・令和5年度薬価改定の概要
・令和5年度の調剤報酬上の特例措置の概要
・令和6年度調剤報酬改定のポイント

令和5年度薬価改定の背景

令和5年度は薬価改定が行われました。
いわゆる「中間年改定」の背景として、安川管理官は平成28年度の高額薬剤の登場があると解説。高額な薬剤が登場した時に、薬価制度は保険制度の持続性の観点から柔軟に対応ができないのではないかとの指摘がされたことがあります。

持続性とイノベーションの推進を両立しながら、国民負担の軽減と医療の質の向上の実現が目指され、議論されたところです。

令和5年度の薬価改定の結果については平均乖離率7.0%の0.625倍を超える品目を対象とすることになりました。この指標では対象品目が約7割となったことで厳しい改定との指摘もありますが、一方で原材料の高騰や安定供給問題、イノベーションへの配慮の観点から緊急・特例的な措置を行ったため、薬価の引き下げ品目は48%となり、薬価維持が46%となりました。それ以外に緊急・特例的な措置を行った品目があるわけです。

安川管理官は、中間年改定自体を問題視する声に対しては、中間年であっても通常年をあまり薬価乖離が生じている実態がある中で、これがなぜなのかを説明することはとても難しい問題だと指摘しました。

令和5年度の調剤報酬上の特例措置の概要

薬価改定と同時に、令和5年度は診療報酬上の措置もありました。このうち、安定供給問題への措置については、地域支援体制加算に施設基準を設け、満たす場合に加点としました。

安川管理官は取り組みを促すものと措置の目的を説明するとともに、この施設基準の詳細について視聴者から質問が出ると、「ハードルが高いものを考えてはいない」とし、例示されているような取り組みがあれば算定が可能との見方を示しました。

令和6年度調剤報酬改定のポイント

安川管理官は第8次医療計画や薬剤師需給推計、医療DX、OTC・セルフケア・公衆衛生など、薬局薬剤師を取り巻く様々な政策が動き出していることを紹介し、これらは相互に関係してくるため、全体的な動きを把握しておくことが重要と指摘しました。

令和6年度調剤報酬改定については、特に在宅医療のニーズが拡大することを挙げ、介護報酬と同時改定だからこそ、見直すべきところがあれば見直すべきと話しました。リフィル処方箋については検証中であることを説明し、患者や医師にどのように評価されるかが重要と指摘。医療DXにおいても得られる方法を薬剤師がどう活用できるかが問われていくとの考えを示しました。

極論すれば、医薬品を「飲んでくれる」ようにすること、ポリファーマシーのように「減らすこと」が薬剤師の本来の職能であると指摘し、その流れになってきていると指摘。それを報酬でサポートすることには異論は出ないのではないかとしました。

安川管理官が強調したのは、薬剤師の取り組む姿勢と、それによって変わってくる「質」です。施設を含めた在宅業務、かかりつけ薬剤師の算定、医療機関への情報提供、それら全てにおいて、本来的な職能と照らし合わせた業務を行っているか、実践しているかが問われることになりそうです。