ガバナンスの取り組み

社外役員メッセージ

当社の独立社外取締役および独立社外監査役は、海外や日本を拠点とする数々の企業での豊富な経験や知識を有しており、当社グル―プが持続的な成長を遂げていくための重要な役割を担っています。このたび、当社の独立社外取締役3氏および独立社外監査役2氏に、当社の他社との違いや強み、未来と可能性、ご自身のスキル・経験を通じて経営に生かせること等についてメッセージをいただきました。

イヴァン・トルノス

イヴァン・トルノス取締役(独立社外取締役)

持続可能な成長と競争優位を目指す
ESGの取り組み

PHCグループは、持続可能な未来へ貢献するためESG(環境・社会・ガバナンス)活動に全力で取り組んでいます。長年にわたり、私はグローバルに企業のESG指標の設定に携わってきましたが、当社グループの経営陣がESGを競争優位の重要な要素と位置付けていることは、社会への貢献と企業の成長を両立させるものであり、その可能性を実感しています。
環境面においては、国内外の拠点でCO2排出量の着実な削減が進んでおり、各製造拠点はISO14001認証を取得しています。さらに、ESG全ての項目についてマテリアリティを特定し、具体的なKPI目標値を設定し、持続可能な環境の実現を目指し具体的な行動計画を実行しています。社会的責任の観点からは、PHCグループはヘルスケア・イノベーションを推進し、製品やサービスを通じて社会に貢献しています。また、ダイバーシティの推進に特に力を入れており、取締役会と経営陣は多様性を尊重し、全ての従業員が働きやすい環境を整えています。各事業活動の動向を把握することはもとより、従業員エンゲージメントの向上にも努めています。
最後に、PHCグループは取締役会の下にグループ全体の説明責任を担う委員会を設け、「人財」から「厳格な財務管理」「企業全体の責任」に至るまで、強力なガバナンスの実現に向けて前進し続けています。私は、社外取締役としてPHCグループの一員であることを誇りに思い、今後もこの取り組みを支援していきたいと考えています。

デイビッド・スナイダー

デイビッド・スナイダー取締役(独立社外取締役)

ヘルスケア企業として多様な事業ポートフォリオで
課題と機会に意欲的に取り組む

PHCグループはヘルスケア企業体として、3つの事業セグメントにわたって、独自性に富んだ多様な製品・サービスを提供しています。当社グループは、事業全体にわたって課題を抱えつつも好機にも恵まれ、新たな最高経営責任者のリーダーシップのもと、先を見越し精力的に取り組んでいます。
ヘルスケアソリューション事業は、PHCグループが直面する課題と捉えるべき好機を象徴しています。昨年、当社グループで臨床検査事業を運営するLSIメディエンス株式会社にて、品質管理において不適切事案が発生しましたが、この問題に誠実かつ真剣に対処し、お客さまの信頼と評価を回復するために積極的に取り組んでまいりました。一方、当社グループは、富士フイルムヘルスケアシステムズ株式会社の電子カルテ・レセプト関連事業の取得を完了し、既存事業と統合してウィーメックスヘルスケアシステムズ株式会社を設立しました。ウィーメックスは、診療所向け医事コンピューターや電子カルテシステム、薬局向け電子薬歴システムにおいて顧客基盤を強化し、さらに日本市場を牽引する立場となりました。
PHCグループの新CEOである出口恭子氏と力を合わせて仕事ができることを嬉しく思っています。私が当社グループの取締役会に加わって以来、同氏とは社外取締役として職務を果たしてきました。同氏は、世界的な製薬会社やプラスチック・エンジニアリング会社、日本のヘルスケア企業で豊富な経験を積み、高い専門知識を備えており、また、並外れた活力と熱意の持ち主でもあります。こうした同氏が当社グループの直面する課題に対処し、この先の好機を生かすのに大きな力を発揮すると私は確信しています。

山下 美砂

山下 美砂取締役(独立社外取締役)

人・組織・企業文化の強化を通じて、強いグローバル企業へ進化:
会社と従業員の成長が両立するWin-Winの関係に

当社は、松下電器(当時)グループの一員として長年にわたり築き上げた技術とグローバルなビジネス群が融合したことにより、ヘルスケアに関わる多くのステークホルダーの皆さまにさまざまなソリューションを提供しています。高精度な技術に裏打ちされた製品が当社の特徴ですが、それらの総合力を発揮するための「One PHC」アプローチと、それによるシナジー効果を創出しながら、今後は特に診断・ライフサイエンスの分野に注力していくことで、より健康な社会づくりに貢献したいと思っています。
また、真のグローバル企業として成長する機会が多くあります。社外取締役として、迅速な意思決定と確実な執行を可能とするガバナンス体制の強化に寄与する所存です。
私は、社外取締役就任と同時に、指名・報酬委員会の委員長も拝命しました。今後、当社がさらに市場での競争力を高め成長していくためには、人財(Human Capital)の強化が必須であることは言うまでもありません。私の長年の人事分野における経験や同委員会を最大限に活用することによって、後継者計画や多様な次世代の人財育成はもちろんのこと、人・組織・企業文化に関わる戦略的課題について大いに議論し、会社と従業員の成長がWin-Winの関係で実現できることにより、企業価値向上に貢献していきたいと思います。

シャノン・ハンセン

シャノン・ハンセン監査役(独立社外監査役)

競争激化の時代におけるPHCグループの
人財投資と社内外の取り組み

私たちPHCグループは、成長の原動力となる人財への継続的な投資は不可欠であると考えています。人財への投資は組織の価値観も反映しています。成長を加速させるには、継続的な学習と能力開発を通じて、従業員一人ひとりが革新性、創造性、卓越性を発揮できる環境を醸成することが重要です。従業員の成長を支えることで、信頼と尊敬に基づく企業文化を築き、従業員に選ばれる企業としての評判が高まり、グループ全体に好業績をもたらします。
成長とは私たちの生命線であり、市場拡大や収益性の向上だけでなく、変化し続けるヘルスケア業界のニーズに対応し、組織の活力を維持することを意味します。成長への投資は、コア・コンピタンスの強化やイノベーションを促進し、競争力を高めます。また、技術力の向上や業務効率の改善、優れた製品の提供も可能にします。さらに、社外との取り組み、とりわけ戦略的パートナーシップを通じて、新たな市場への進出や最新の動向、顧客ニーズに関する貴重な知見や洞察を得ることができます。こうした投資を継続することは、単にビジネス上必須であるだけでなく、PHCグループの持続的な成長と医療現場の発展に極めて重要であると確信しています。
私は、戦略的洞察やリーダーシップ、ESG、リスク管理、ガバナンスの専門知識と経験を生かし、PHCグループの持続可能性、ガバナンス、そして各事業の成功を支援し、長期的な成長と社会への貢献に取り組んでいきます。

北川 哲雄

北川 哲雄監査役(独立社外監査役)

「技術と革新のすべてを、世界の人々の健康のために」を
実現するため挑戦し続けるPHCホールディングス

当社が有する3つの事業セグメントは、いずれも、技術革新や法規制、市場動向など、事業環境の急激な変化に直面しています。このような事業環境に経営が対応する上で、「大きなM&Aはせず、技術開発や市場開拓は自前で進める」というアプローチもあるでしょう。しかし当社はこのような漸進主義的アプローチだけが正解とは思いません。当社には、「技術と革新のすべてを、世界の人々の健康のために」という経営目的があります。この目的に少しでも早く近づくために、M&Aを含む事業投資の挑戦を続けます。
挑戦を続けていけば、大なり小なりうまくいかない事例の数も増えるものですが、昔から失敗は成功の母と言われています。当社は、(例えば減損のような)投資の意思決定時点では想定していなかった事態が起これば、これに至った経緯と要因をつぶさに検討し、経営上の知見としてストックしています。
金融資産投資において複利の効果が働くのと同じように、経営上の知見が増えてくると相乗的に効果を発揮し、着実・継続的な増益が可能な企業体質を作り上げる礎となります。ステークホルダーの皆さま、目的達成のために挑戦を続ける当社の経営にご期待ください。