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医療テック記事 医師 事務長 2025.05.09 公開

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クリニックで予約システムを導入するメリットとは?選定時のポイントも解説

クリニックの予約管理、電話対応の負担増加にお悩みではありませんか?現状を維持し続けると、スタッフの疲弊や患者満足度の低下につながり、クリニック経営にも影響しかねません。本記事では、クリニック予約システムの基本から導入メリット、選び方のポイント、導入手順まで体系的に解説します。自院に最適な予約システム選びのヒントを、ぜひこの記事でつかんでください。

※本内容は公開日時点の情報です

#機器選定ポイント #業務効率化 #システム入替

目次

クリニックの予約システムとは?

クリニックで予約システムを導入するメリットとは?選定時のポイントも解説

クリニックの予約システムとは、患者さんがインターネットを通じてパソコンやスマートフォンから、24時間いつでも診察の予約を取れるオンラインサービスです。

近年では患者さんの利便性向上と医療機関の業務効率化を目的として、多くのクリニックで予約システムが導入されています。

矢野経済研究所の2019年の調査※1によると、新規開業クリニックの62%が予約システムを導入していること※2が明らかになりました。現在ではインターネット利用が当たり前の社会となり、クリニック検索から予約までがシームレスに完結できる仕組みが標準になりつつあります。

※1参考:株式会社矢野経済研究所「新規開業クリニックに関する法人アンケート調査(2019年)」(2020年3月16日発表)

※2調査期間:2019年11月~12月、調査(集計)対象:2019年に開業したクリニック(東京都・大阪府・兵庫県・京都府)の98件、調査方法:郵送アンケート、予約システムの導入有無について単数回答

クリニックに予約システムを導入するメリット

クリニックに予約システムを導入することで、業務効率化や患者満足度の向上など、さまざまな面で医療現場を改善する効果が期待できます。具体的にどのようなメリットがあるのか、クリニック側と患者さん側のそれぞれの立場から詳しく見ていきましょう。

クリニック側のメリット

まず、電話対応業務の負担が大幅に軽減され、スタッフの業務効率が向上します。また、予約状況が可視化されることで混雑が緩和され、診療の質にもプラスの影響をもたらすでしょう。

実場面でのメリットについて、以下より深堀してお伝えします。

受付業務の効率化

人力で予約管理をする場合、電話対応や窓口での対応に多くの時間と人員を割く必要があります。とくに午前中の診療開始直後や昼休みなどの時間帯は電話が集中し、スタッフの大きな負担となっているケースは少なくありません。

予約システムを導入することで自動的に予約枠を管理できるため、予約の重複や記入ミスなどのヒューマンエラーも大幅に減少します。

結果として、患者満足度にもポジティブな影響が期待できるといえるでしょう。

電子カルテとの連動

予約システムと電子カルテの連動によって、自動的に予約日時に患者さんの情報が反映されるため、受付から診察までの時間短縮につながります。

収益の安定化

診療スケジュールがスマートフォンなど、患者さんの身近にあるもので管理されることで無断キャンセル防止に役立ちます。ひいては、来院患者数の減少を防ぎ、収益の安定化につながります。

患者さん側のメリット

患者さんからすると、待ち時間をコントロールしやすくなり、受診のハードルを下げる効果が期待できます。

患者さん視点でメリットに感じてもらえる負担軽減について、以下でお伝えします。

患者さんの負担軽減

予約システムが導入されていれば、従来のように長時間待合室で待つ必要がなくなるため、体調が優れない時でも負担少なく診療を受けられます。

また、スマートフォンやパソコンから簡単に予約できるため、医療機関に電話をかける煩わしさもなくなります。

予約確認メールや予約日前日のリマインド通知など、便利な機能も患者さんの予約忘れ防止に効果的です。

導入前に把握してきたいデメリット、注意点

クリニック予約システムにはさまざまなメリットがある一方で、導入前に把握しておくべきデメリットや注意点の把握も欠かせません。ここでは、クリニック側と患者さん側それぞれの立場から考慮すべき点を解説します。

クリニック側のデメリット、注意点

まず、予約枠の設定が適切でなければ、予約が詰まりすぎて待ち時間が逆に長くなる可能性があります。診療時間にはある程度の余裕を持たせ、急患にも対応できる柔軟性を確保することが必要です。

また、高齢者など、オンライン予約が難しい患者さんへの配慮として、従来どおり人による予約受付も対応できる体制が求められます。

さらに、スタッフがシステム操作に慣れるまでの教育期間も必要です。導入初期は業務効率が一時的に低下することもあるため、スケジュールには余裕を持たせましょう。

最後に、システム導入には初期費用や月額利用料などのコストがかかるため、自院にとっての費用対効果がどれほどのものか、十分に検討する必要があります。

患者さん側のデメリット、注意点

患者さんにとっての最大の懸念点は、予約時間どおりに診療が進まない可能性があることです。前の患者さんの診察が長引いたり、急患対応が入ったりすると、予約時間を過ぎてもお待たせすることがあります。

また、システムによっては予約の取り方が複雑で、高齢者や苦手意識のある方にとっては、予約すること自体が負担になってしまう可能性があります。

電話予約と比べて手軽さが失われる場合もあるため、システムを導入する際にはスムーズに使えるものを選びましょう。

予約システム選定時の3つのポイント

予約システムを導入する際には、自院の特性や患者層に最適なシステム選びが大切です。ポイントを3つに分けて解説します。

なお、予約システムを含めた開業戦略について以下の資料にまとめています。無料でダウンロードできるため、ぜひご活用ください。

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1.どんな予約方法が自院に適しているか

予約システムを選ぶ際、最も重要なのは自院の診療スタイルや患者層に合った予約方法を選ぶことです。主な予約方法は以下の4タイプがあり、それぞれ特徴が異なります。

予約方法 特徴
順番制予約方法 診察順番のみの予約で時間は確約されない
時間制予約方法 特定の時間枠を指定して予約
特化型予約方法 インターネット、自動音声電話、タッチパネルなど予約受付に特化
アプリ、LINE対応型予約方法 スマートフォンアプリやLINEを活用した予約

自院の診療スタイルや患者層をデータで分析し、客観的に評価したうえで最適な予約方法を選ぶと、スムーズな診療運営と患者満足度の向上が期待できます。それぞれの特徴について、さらに詳しく見ていきましょう。

順番制予約方法

順番制予約システムは診察の順番だけを予約し、具体的な診察時間は確約しないタイプのシステムです。最大の特徴は、多くの患者さんを柔軟に受け入れられることです。

患者さんはリアルタイムで待ち人数や待ち時間の目安を確認できるため、混雑時を避けて来院したり、自分の順番が近づいてから来院したりすることで時間を有効活用できます。

一方で、具体的な診察時間が確約されないため、待ち時間が予想より長くなるケースも珍しくありません。初診患者さんが多いクリニックや診察時間にばらつきがある診療科に適していますが、再診患者さんの多いクリニックでは患者さんが予定を立てにくく、不満につながる可能性もあります。

導入を検討する際は、日々の初診・再診比率や平均診察時間を分析し、適合性を判断することが重要です。

時間制予約方法

時間制予約システムは、患者さんが希望する日時を指定して予約するタイプです。最大のメリットは、患者さんの待ち時間を最小限に抑えられることです。

事前に診察時間がわかるため、患者さんは自分の予定に合わせて来院でき、クリニック側も患者数を調整して混雑を防げます。また、時間に余裕を持った診療が可能となり、質の高い医療サービスの提供にもつながります。

ただし、1診療あたりの時間がある程度一定しているクリニックに適したシステムです。急患が多い診療科や診察時間のばらつきが大きいクリニックでは、予約時間どおりに診療が進まないことがあり、かえって患者満足度を下げる可能性もあります。

導入を検討する際は、30分枠で4人、5人など自分で枠を設定できるので、分析したうえで1枠の患者数を決定することが重要です。

特化型予約方法

特化型予約システムは、予約受付に特化したシンプルな機能を持つシステムです。主な予約方法としては、24時間いつでも予約できる「インターネット予約」のほか、電話のプッシュボタンで操作する「自動音声電話予約」、院内に設置したタッチパネルで予約する「タッチパネル予約」などがあります。

自動音声電話予約は、機器操作に苦手意識のある高齢者でも使いやすいという特徴があります。タッチパネル予約は、診察後のその場で次回予約ができるため、再診患者の予約管理に便利です。

アプリ、LINE対応型予約方法

スマートフォンアプリやLINEを活用した予約システムは、最新のトレンドとして注目されています。予約機能だけでなく、チャットによる事前問診やオンライン診療機能など、多彩な機能が搭載されているケースが多く、診療の効率化に貢献するシステムです。

また、アプリやLINEを通じて医療情報や健康管理のアドバイスを配信することで、患者エンゲージメントを高め、再来院率の向上につながります。

予約日が近づくとリマインド通知を送れるため、予約忘れを防止する効果も期待できます。

とくに、ITリテラシーの高い患者層が多い都市部のクリニックや、若い世代の患者が中心の診療科では、導入を積極的に検討する価値があるでしょう。

2.どのシステムが使いやすいか

予約システムは「クラウド型」と「オンプレミス型」の2種類です。違いを下表にまとめました。

項目 クラウド型 オンプレミス型
初期費用 低い(月額制が主流) 高い(ソフトウェア購入+サーバー構築)
運用コスト 月額利用料(5,000円~30,000円程度) サーバーメンテナンス費用、アップデート費用
メンテナンス 提供会社が自動対応 院内で対応または保守契約が必要
カスタマイズ性 限定的 高い(要望に応じた開発が可能)
データ管理 外部サーバー 院内サーバー
システム連携 API連携(対応システムに限定) 柔軟な連携が可能(開発が必要)

クラウド型は初期費用が抑えられ、メンテナンスの手間もかからないため、小規模クリニックや開業したばかりのクリニックに適しています。

一方、オンプレミス型は初期費用は高いもののカスタマイズ性が高く、電子カルテなど既存システムとの連携がスムーズにできるため、大規模クリニックや特殊な診療形態のクリニックに向いています。

また、すでに電子カルテなどのシステムを導入している場合は、それらとの連携が可能かどうかも重要なポイントです。データ連携がスムーズにできれば、二重入力の手間が省け、業務効率が大幅に向上します。

導入前に必ず連携の可否を確認し、必要に応じてデモや試用期間を設けることをおすすめします。

3.オプションは必要か

予約システムの基本機能に加え、さらに利便性を向上させたい場合はオプション機能の追加を検討するとよいでしょう。

なお、オプションは各サービスによってさまざまです。標準機能に何が含まれているのか、不足している場合オプションを追加すべきか、機能と価格を見比べて自院に合うシステム選定が重要です。

クリニックに予約システムを導入する手順

予約システムの導入を決めたら、実際にどのような流れで進めればよいのでしょうか。ここでは、一般的な導入手順を5つのステップに分けて解説します。

1.資料請求、問い合わせ

まずやるべきは、複数のシステム提供会社から資料を取り寄せ、比較検討することです。自院の診療スタイルや患者層に合ったシステムを選ぶために、以下のポイントを確認しましょう。

  • システムの基本機能と操作性
  • 初期費用と月額費用の詳細
  • 電子カルテなど既存システムとの連携可否
  • 患者向けインターフェースの使いやすさ
  • セキュリティ対策の内容
  • サポート体制と対応時間
  • 同規模・同診療科クリニックでの導入実績

資料だけではわからない点については、直接問い合わせをして詳細を確認しましょう。この段階で3社程度に絞り込むと、次のステップがスムーズに進みます。

2.見積もり

候補に挙がったシステム提供会社から具体的な見積もりを取得します。単に初期費用と月額費用だけでなく、以下の点も含めて総合的なコストを把握することが重要です。

  • システム本体の費用(初期費用・月額費用)
  • オプション機能の追加費用
  • 既存システムとの連携に必要な開発費用
  • 導入サポート・スタッフ教育費用
  • 保守・メンテナンス費用
  • 将来的なアップグレード費用

見積もりの内容は細かく確認し、不明点や追加費用が発生する可能性についても質問しましょう。複数社の見積もりを比較することで、適正価格の把握と交渉の材料にもなります。

3.テスト利用

実際に導入する前に、テスト環境でシステムを試用することをおすすめします。多くのシステム提供会社では、一定期間の無料トライアルや低コストでのテスト利用を提供しています。この期間に以下の点を重点的に確認しましょう。

  • スタッフが使いやすいかどうか
  • 自院の診療フローに合っているか
  • 患者さんの視点からの予約のしやすさ
  • 実際の運用で生じる問題点や改善点

テスト利用中に院内スタッフから意見を集め、必要に応じてカスタマイズの要望を伝えることも重要です。また、一部の患者さんにもテスト利用してもらい、フィードバックを得ることで、導入後のトラブルを未然に防げます。テスト期間中に明らかになった課題については、提供会社と解決策を協議しましょう。

4.本契約

テスト利用の結果に基づいて、最終的なシステム選定と契約を行います。契約書には以下の内容が明記されているか確認することが重要です。

  • 提供されるサービスの具体的内容
  • 料金体系と支払い条件
  • サポート・保守の範囲と対応時間
  • データのバックアップと復旧方法
  • 障害発生時の対応フロー
  • 契約期間と更新・解約条件
  • 個人情報保護に関する取り決め

とくに重要なのは、導入後のサポート体制です。システムに不具合が生じた場合の対応時間や方法、院内スタッフの教育支援などについて、具体的に確認しておきましょう。また、将来的なシステムのアップデートやカスタマイズについての条件も確認しておくことをおすすめします。

5.導入、稼働

契約後は、実際のシステム導入と稼働準備を進めます。スムーズな導入と早期の効果実現のために、以下のステップを計画的に実行しましょう。

  • 導入スケジュールの作成: システム提供会社と相談し、具体的な導入スケジュールを作成します。とくに診療に影響が出ないよう、導入タイミングは慎重に選びましょう。
  • スタッフ教育の実施: システムを実際に操作する受付スタッフや医師などに対して、十分な研修時間を確保します。マニュアルの整備や操作方法の習得を徹底しましょう。
  • 患者さんへの告知: 新システム導入の案内を院内掲示やホームページ、診察時の説明などで事前に情報提供します。その際、予約方法の変更点や利用メリットをわかりやすく伝えることが重要です。
  • データ移行: 既存の予約データがある場合は、新システムへの移行作業を行います。データの欠損や誤りがないか確認しましょう。
  • テスト運用: 実際の環境で少人数からテスト運用を始め、問題がないことを確認します。
  • 本格稼働: すべての準備が整ったら本格稼働を開始します。稼働当初は提供会社のサポートスタッフに立ち会いを依頼するとより安心です。
  • 運用状況の確認と改善: 稼働後も定期的に運用状況を確認し、必要に応じて設定変更や運用方法の改善を行います。

導入初期は予期せぬトラブルや戸惑いが生じることもありますが、システム提供会社と緊密に連携しながら対応することで、徐々に安定した運用が可能になります。

まとめ

クリニック予約システムは、患者さんの利便性向上とクリニックの業務効率化を同時に実現できるツールです。

うまく運用できるかどうかのポイントは、自院に合った予約方法の選定・使いやすいシステムの採用・必要なオプション機能の見極めです。

まずは複数のシステム提供会社への資料請求から始めて、自院に最適な予約システムを見つけてみてはいかがでしょうか。

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著者情報

武田 直也 様

フリーランスWebライター。18年間、医療事務として合計3つの医療機関に従事。診療報酬をはじめ、診療情報管理士の資格を活かしたカルテ監査やDPCデータ分析、クリニカルパスなどの医療情報利活用に精通している。

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