《ここがポイント!》
- 厚労省の「美容医療の適切な実施に関する検討会」にて、トラブル続発への対策として新たな診療ガイドライン作成と認定制度創設の早期実現を求める意見が出た。
- 現状では自由診療のための規制が不十分で、無資格者による医行為や無診察治療の疑いなどが報告されている。
- 保健所からは立入検査基準の明確化を求める声もあり、厚労省は法令解釈の明確化と適切な対応の必要性を示した。
~美容医療の適切な実施に関する検討会(第2回 8/26)《厚生労働省》~
やけどや皮膚障害をはじめ、ヒアルロン酸の注入による失明や脂肪吸引による死亡事故などトラブルが発生している美容医療を巡り、厚生労働省が26日に開催した「美容医療の適切な実施に関する検討会」で、診療ガイドラインを新たに作り、それを遵守している医療機関を関連学会が公表する認定制度を創設するといった対応を早期に進めるよう求める意見が複数出た。
関係学会が既に策定している「美容医療診療指針」ではカバーできていない領域があるため、診療ガイドラインを新たに作成し、適切な診療を示していく必要があるとした。
宮川政昭構成員(日本医師会常任理事)は認定制度の整備など、患者が適切な診療を受けられる医療機関を選別できる体制を構築するために「関連学会がモーションを起こすべき」だと強調した。
自由診療で行われる美容医療は、保険診療のルールが適用されず、医療機関が自己点検と報告を毎年行う定例報告や行政による指導・監査の仕組みがない。医療法に基づく立入検査も、無床診療所には必ず行うこととはされていない(資料P8参照)。そのため、不適切な診療が行われても取り締まる体制が十分でなく、健康被害を受ける患者が後を絶たない状況にある。
厚労省は同検討会で、違法やその疑いの事例について保健所にヒアリングした結果を報告。カウンセラーなど医師以外の無資格者が施術内容の決定や医療脱毛などの医行為を実施している疑いのある事例をはじめ、医師が診察する前に治療内容が決定していることや、オンライン診療を活用する形で実質的には無診察で治療を行っている疑いのある事例などを保健所が把握しているという(資料P9参照)。
しかし保健所からは、どのような場合に立入検査を実施できるのかが明確ではないため判断が難しいとの指摘があった。また、立入検査を実施してもカルテには最低限のことしか記載がなく、資料の提出を求めても虚偽報告や聴き取り拒否をされる事例もあり、対応に苦慮するケースがあるとの意見も寄せられた。
こうした現状を踏まえ、宮沢裕昭構成員(新宿区保健所主査)は厚労省に対し、立入検査を実施する基準を整理し、通知などの形で示すよう求めた。これに対し厚労省は、法令の解釈を明確化した上で「適切な対応を検討する必要がある」との考えを示した。
(資料公表日 2024-08-26/MC plus Daily)
資料:前回いただいたご意見と違法等事例に関する保健所の意見(厚生労働省)
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