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企業健康経営 人事・総務 コメディカル 2024.09.25 公開

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【津下先生解説】チームで指導力を高めるために必要な〇〇とは? vol.10

第4期特定健診・特定保健指導制度が2024年4月から開始されました。ウィーメックスは指導品質の向上のためのセミナーを開催し、第1期より厚生労働省等の検討会委員を務めている女子栄養大学特任教授の津下一代先生に解説いただきました。本コラムでは、講演内容のポイントをさらに詳しく解説いただき、連載でお届けいたします。今回は組織全体で品質を標準化する重要性について教えていただきました。

※本内容は公開日時点の情報です

#医療政策

目次

組織として保健指導品質を意識するということ

保健指導者は、対象者の行動変容を促せるようにスキルの向上をめざしていますが、学習深達度や経験、職種などによる得意分野の違い、対象者との相性?などにより、対象者の反応や保健指導の効果に差がみられるようです。相性、といっても、双方、相手を選べるわけではないので、保健指導者が対象者の状況をくみ取り、気づきや意欲の向上につながるようなコミュニケーションをとることが求められます。実際には、対象者が保健指導者の意に添うように行動目標を立ててくれることもあるようですが…。

【津下先生解説】チームで指導力を高めるために必要な〇〇とは? vol.10

新卒の専門職は「標準的な保健指導プログラム」の求める保健指導を頭では理解できても、それを様々な対象者に合わせて実践できるまでは時間がかかりそうです。臨床などの実務経験がある人でも、対象者像や実施方法・評価の違いに戸惑いを感じることもあるでしょう。保健指導に慣れてきた者でも、忙しさのあまり勉強する時間が取れず、一人ひとりの状況に応じた適切な保健指導ができていないと悩みを感じることもあるかもしれません。
そのような状況にありながら、保健指導機関では、現有の保健指導人材を最大限活用して、組織全体としての効果を引き出し、保険者からの信頼にこたえることが求められます。その際、保健指導者一人ひとりの努力も大切ですが、組織として保健指導の質を高める取組を進めることが大切です。

Q1.「保健指導の質」とは何でしょうか。

A. 参加者から見れば、「親身になって相談に乗ってもらえてよかった」「自分の健康問題に気づけた」「これならやれると思った」「実行して手ごたえを感じた」と感じられることが、「満足度が高い保健指導」といえるのではないでしょうか。保健指導者は、その専門性を活かし、アセスメント、生活習慣修正方法の提案、行動目標の設定と継続への助言を行うことが重要です。参加者のうち、満足度が高い人の割合が増えていくことを「保健指導の質」の指標としてみることが可能です。
保健指導機関としては、保険者から依頼を受けた特定保健指導該当者のうち、保健指導実施率の向上(参加者の増加、脱落率の低下)、参加者アンケートの回答(満足度調査)、最終評価時の効果(体重・腹囲、行動変容)、クレームや有害事象がないことなどを、「保健指導の質」ととらえることができます。保険者別の効果分析や保健指導者別の分析を行い、質の向上に取り組むところが増えてきました。

Q2. 組織として「保健指導の質」をどう高めればよいですか?

A. 保健指導機関は、保健指導者の特性を把握し、弱点を補強する対策をとることで「質」を高めることができます。OJT(On the Job Training)が機能するように、チームを編成して、現場での実務を通じて知識やノウハウを身につけてもらうことが大切です。
また、保険者の特性やニーズに合わせたプログラム、教材をあらかじめ準備しておくことにより、新人専門職の学習目標が明確になり、上達が促進されます。困難事例については相談できる者やフォローしてくれる先輩がいることで、安心して保健指導に取り組めることでしょう。
保健指導機関は単に専門職を雇用するだけでなく、その資質向上に積極的に取り組むことにより、「組織としての保健指導の質」を高めることができるのです。

Q3. 品質を標準化することについて教えてください。

A. 質の改善のためには指標を標準化し、その改善を目指すことが一般的です。標準化する指標としては、できるだけ客観的、具体的に測定可能であり、比較可能であること、改善可能性があることが求められます。がんばりたくなる指標が望ましいですね。
保健指導の参加前アンケートと初回面接後アンケートから見た生活習慣改善意欲の変化、行動目標の設定状況、継続支援の状況、最終評価項目の変化のほか、クレームや有害事象の有無などをルーチン業務に組み入れて確認します。このような成果指標と、保健指導者自身によるスキル評価やロールプレイなどによる技術評価などを組み合わせていくとよいでしょう。
しかし、このような評価を、保健指導者へのダメ出しに使ってしまっては、学習意欲も低下するというもの。チームとして保健指導の成果を高めることに用いてこそ、OJTの向上、ひいては組織・個人としての「保健指導の質の向上」につなげることができます。

▽前回のコラムをご覧になりたい方はこちら
https://www.phchd.com/jp/medicom/park/idea/healthmanage-point-09
▽関連資料
「チームで指導力を高める『スキル標準化の仕組みの作り方』」
https://go.medicom.phchd.com/wellsportstep_seminar_material_202407(PDF)

筆者情報

津下 一代

津下 一代(つした かずよ) 様

女子栄養大学 特任教授

名古屋大学医学部医学科を卒業後、国立名古屋病院内科、名古屋大学第一内科での臨床・研究活動を経て、平成4年愛知県総合保健センターに勤務。
12年あいち健康の森健康科学総合センター、23年より同センター長兼あいち介護予防支援センター長に就任。令和2年より女子栄養大学特任教授として活躍。

健康日本21(第三次)推進専門委員会、健診・保健指導の在り方に関する検討会などの厚生労働省等の委員、健康・医療新産業協議会・健康投資WGなどの経済産業省の委員を務めるなど、多方面で活躍。

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