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健康管理システムとは
健康管理システムとは、従業員の健康管理に関する業務を一元的に管理できるITシステムです。健康管理業務のデジタル化により、これまでのように目視でデータを探したり、手作業で入力したりする手間を大幅に削減できます。
また、紙の書類を扱う場面もほとんどなくなり、効率化を図ることが可能です。最近では健康経営®の推進に伴い、こうした健康管理システムを導入する企業が増加しています。
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健康管理システムでできること
健康管理システムを導入する際には、搭載されている主な機能を把握しておくことが重要です。ここでは健康管理システムで実現できる代表的な機能について説明します。
健康診断の受診管理
健康管理システムでは、従業員ごとの健康診断の受診状況がリアルタイムで管理できます。まだ受診していなくても申し込み済みの場合は予約日時が反映され、各従業員の進捗を詳細に把握することが可能です。未受診・未申し込みの従業員には、メール等による受診勧奨も自動で行えます。
予約受付や日時変更、キャンセルなどの手続きもシステム上で簡単に完結します。システムによっては専用コールセンター対応が利用できる場合もあります。また、健康診断は企業に法的義務があるため、管理が徹底できることで、ミスや漏れによる違反の予防につながります。
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健康診断データの一元管理
従業員の健康診断結果や関連データを電子化し、一元的に管理できます。複数の健診機関を利用している場合も、データレイアウトの統一や自動集約ができるため、処理や資料作成の手間が大幅に削減されます。迅速なレポート出力や情報共有にも役立ちます。
ストレスチェックの実施
従業員50人以上の事業場では年1回のストレスチェックが法律で義務付けられており、多くのシステムでストレスチェック機能が搭載されています。また法改正により、今後50人未満の事業場でも義務化が予定されています。
健康管理システムでは、従業員への定期的な質問送信、データ管理、未実施者への自動リマインドなど、ストレスチェック業務も効率化できます。
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報告書の作成
健康診断やストレスチェックなどの結果をもとに、労働基準監督署への報告書を自動作成できる機能があります。データの集計やレポート作成、行政提出用のフォーマット出力、グラフや分析資料の生成まで対応しているシステムもあります。
健康管理システムを導入するメリット
健康管理システムを導入することで人事担当者の負担が軽減されるだけでなく、企業全体にとっても多くのメリットがあります。ここでは、具体的にどのような利点があるのかを確認していきましょう。
従業員の健康管理に関わる業務の効率化
健康管理システムを導入することで、健康診断などの従業員の健康データが自動的にシステム上へ記録されます。必要なデータの検索や抽出も容易になり、手作業によるデータ入力や検索といったアナログ作業が大幅に削減されます。さらに、複数部署間でのデータ共有もスムーズに行える点が大きなメリットです。
健康経営優良法人の認定取得に有利
「健康経営優良法人」とは、経済産業省が実施する認定制度です。認定を取得すると専用ロゴマークをホームページなどでアピールに使うことができます。求職者が応募先企業を選ぶ際、この認定を重視するケースも増えています。認定取得は「ホワイト企業」としてのイメージ向上や、採用活動の促進につながります。
また、一部の金融機関では、健康経営優良法人認定企業への優遇融資制度を設けている場合もあります。
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従業員の受診率向上に貢献
健康管理システムには、健康診断の受診案内やリマインドの自動送信機能が備わっています。手作業で送信する場合に比べ、通知漏れが防げるため、受診率の向上に効果的です。未受診者を簡単に抽出してフォローでき、受診しないまま放置されることを防げます。これにより早期の健康リスク対策にもつなげられます。
ペーパーレス化が可能
健康管理システムに記録されたデータは、従業員自身もスマートフォンなどで簡単に確認できます。紙で健康診断結果を配布する必要がなくなるため、管理の手間やコストを削減可能です。従業員にとっても情報の紛失リスクがなく、利便性が向上します。また、過去の健康診断データを取り込むこともでき、一元管理が可能です。
健康管理システムを導入する上での注意点
健康管理システムには多くのメリットがありますが、導入にあたっては注意すべき点も存在します。ここでは、導入時に認識しておきたい主な注意点について解説します。
セキュリティリスクに注意が必要
健康管理システムでは、従業員の健康状態や既往歴など、機密性の高い個人情報を扱います。ウイルス感染や不正アクセスなどによる情報漏洩が発生すると、企業の信用が大きく損なわれる恐れがあります。そのため、十分なセキュリティ対策を講じることが非常に重要です。
費用対効果を把握するのが難しい
従業員の健康問題の改善効果は、数字として明確に評価しにくい場合が多いです。たとえば、生活習慣病の予防などは効果が現れるまでに長い期間がかかるため、システム導入の費用対効果を短期間で把握するのは難しい場合があります。ただし、業務効率化などの成果については比較的早期に実感できることもあります。
上手く活用できない可能性
健康管理システムには多機能なものも多くありますが、全ての機能を自社で十分に活用できるとは限りません。機能が複雑な場合、上手く使いこなせず、かえって業務負担が増えてしまう可能性もあります。また、自社の運用方法や業務フローに合わない場合もあるため、導入前に自社との適合性を十分に確認することが重要です。
健康管理システムを選ぶ際のチェックポイント
健康管理システムを導入し、業務効率の向上や従業員の健康増進を実現するためには、適切なシステム選びが重要です。具体的にどのような点に注目すべきか、選定時のチェックポイントをご紹介します。
セキュリティ対策が充実しているかどうか
健康管理システムの運用では、セキュリティ対策が欠かせません。プライバシーマークやISMS認証の取得有無を確認するとともに、部署や役職ごとのアクセス権限設定が可能かも重要です。健康管理業務の担当者以外がアクセスできない仕組みが、安全な個人情報管理につながります。
さらに、不正ログイン防止策やアクセスログの記録・保存機能の有無についても導入検討の段階でチェックしましょう。
長期的な運用コスト
健康管理システムには初期導入コストのほか、継続的な運用コストが発生します。システムごとに両者のバランスや料金体系が異なるため、長期的な観点から総コストを比較・検討することが大切です。
また、従業員数の増減に応じてプラン変更や追加費用が発生する場合もあるため、将来的なコストの変動やオプション料金体系も併せて確認しておきましょう。
自社の業務や規模に合うかどうか
健康管理システムには、中小企業向け・大企業向けなど多様なタイプがあります。自社の規模や業務内容に合ったシステムを選ぶことで、効率的かつ無駄のない運用ができます。不適切なシステムを導入すると、活用しきれなかったり、不要なコストが発生したりするリスクもあります。
また、搭載機能が自社の目的や業務フローに合致しているか、不足分はオプション追加可能かなど、必要十分な機能の有無や拡張性、操作性などにも留意しましょう。
まとめ
健康管理システムを導入することで、健康診断やストレスチェックなど、従業員の健康管理に関わる業務を効率化できます。人事担当者の負担軽減はもちろん、未受診者の把握やフォローもしやすくなり、従業員の健康増進にもつながります。また、健康経営優良法人の認定取得もより目指しやすくなるでしょう。
システム導入に際しては、セキュリティ対策や長期的な導入コストなどを十分に検討し、自社に最適なシステムを選ぶことが重要です。
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