【2025年最新】オンライン服薬指導の算定要件や点数、実施の流れを解説
オンライン服薬指導とは、薬剤師が患者さんに対して非対面で服薬指導を行う仕組みです。 調剤業務の柔軟化と患者さん支援の強化に貢献する制度として作られました。2023年7月をもって0410対応が終了し、現在は改正薬機法にもとづいた運用が求められており、制度や要件を把握しておく必要があります。オンライン服薬指導を導入するにあたっては、実施の流れや算定点数、対象薬剤の制限などにも注意が必要です。本記事では、2025年最新の情報をもとに、オンライン服薬指導を実施するために必要な要件・算定基準・実施の流れから、導入のメリット・デメリットまで詳しく解説します。
※本内容は公開日時点の情報です
目次
0410対応は2023年7月で終了、今後の実施要件は改正薬機法に従うことに
オンライン服薬指導とは、薬剤師が対面ではなくスマートフォンやパソコンなどの通信機器を用いて遠隔で患者さんに服薬指導を行う仕組みです。新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、2020年4月10日に厚生労働省より発出された事務連絡、いわゆる「0410通知」により、特例的にオンライン服薬指導が解禁されました。
これは、感染拡大防止の観点から、電話やビデオ通話などの非対面での服薬指導を可能とし、外出が困難な患者さんや慢性疾患を持つ高齢者に対応するための一時的な措置です。
0410対応下では、医師による初診のオンライン診療や、薬剤師による非対面での服薬指導、薬の配送などが柔軟に認められていました。しかし、制度開始から約3年が経過し、2023年7月31日をもって0410対応は正式に終了しました。これにより、オンライン服薬指導の実施は、改正薬機法にもとづく要件を満たす必要が出てきたのです。
改正薬機法では、オンライン服薬指導の恒久化に向け、患者さんの安全性と医療の質を確保するための要件が厳格に規定されています。たとえば、リアルタイムかつ双方向の音声・映像によるやり取りが必須であり、指導内容の記録やプライバシー保護など、対面での服薬指導と同等の信頼性が求められます。
出典:新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の 時限的・特例的な取扱いについて(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000620865.pdf)
出典:オンライン服薬指導の実施要領について(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/content/000995230.pdf)
実施要件の違い
一口にオンライン服薬指導といっても、改正前薬機法と0410対応、改正後薬機法のどれに沿って行うかによって実施要件が異なります。
0410対応の場合は、音声のみでの通信方法も可能でしたが、改正後薬機法では不可となるので注意しましょう。改正前薬機法では初回のみ対面で服薬指導を受ける必要がありましたが、0410対応と改正後薬機法では、初回でもオンライン服薬指導が可能です。
改正前薬機法 | 0410対応 | 改正後薬機法 | |
---|---|---|---|
実施方法 | 初回のみ対面で服薬指導を受ける必要あり | 初回でも薬剤師の判断により電話やオンライン服薬指導が可能 | 初回でも薬剤師の判断と責任に基づき、オンライン服薬指導が可能 |
通信方法 | 映像および音声(音声のみは不可) | 電話(音声のみ)でも可能 | 映像および音声(音声のみは不可) |
薬剤師 | 原則として同一の薬剤師がオンライン服薬指導を実施 | かかりつけ薬剤師・薬局や患者の居住地にある薬局で行われることが望ましい | かかりつけ薬剤師・薬局により行われることが望ましい |
診療の形態 | オンライン診療または訪問診療を行った際に交付した処方箋 | どの診療の処方箋でも可能 | どの診療の処方箋でも可能 |
薬剤の種類 | これまで処方されていた薬剤またはこれに準じる薬剤 | 原則として全ての薬剤 | 原則として全ての薬剤 |
服薬指導計画 | 服薬指導計画を策定した上で実施 | 特に規定なし | 服薬指導計画と題する書面の作成は求められないが、服薬に関する必要最低限の情報等を明らかにする |
セキュリティ | 服薬指導計画にセキュリティリスクに関する責任の範囲およびそのとぎれがないこと等の明示 | 初診時の要件遵守の確認 |
|
実施場所 |
|
特に規定なし |
|
出典:オンライン服薬指導について(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/000910730.pdf)
算定要件や点数
オンライン服薬指導を行った場合は、以下のように算定します。
服薬管理指導料
情報通信機器を用いた服薬指導を行った場合
(イ)原則3ヵ月以内に再度処方箋を持参した患者さんについては45点
(ロ)上記以外の場合は59点
3ヵ月以内に再度処方箋を持参し、お薬手帳を持参した場合は(イ)の45点を算定できます。上記条件を満たさない方、具体的には以下に該当する方は(ロ)の59点を算定することが可能です。
- 初めて処方箋を受け付ける患者さん
- 前回の来局から3ヵ月以上経っている患者さん
- お薬手帳の持参がない患者さん
また、在宅で療養している患者さんで通院が困難な方に対して、情報通信機器を用いた薬学的管理及び指導(訪問薬剤管理指導と同日に行う場合を除く。)を行った場合には下記の点数を算定できます。
在宅患者オンライン薬剤管理指導料 59点
出典:令和6年度調剤報酬改定の概要(調剤)(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001238903.pdf)
麻薬や向精神薬は初診での処方は出来ない
改正薬機法では、麻薬や向精神薬など依存性や副作用のリスクが高い医薬品については、初診時のオンライン処方が禁じられています。
これは、薬剤師が患者さんの体調や服薬歴を十分に把握できない初診の段階での不適切な処方を防ぐためです。また、患者さんにこれらの薬が処方されているのを確認した際には、必要に応じて医師に疑義照会を行う義務があります。疑義照会を通じて初診での処方がなされていないか、処方内容が適切であるかを確認し、薬剤師として安全管理と法令遵守を徹底することが求められます。そのうえで、オンラインでの服薬指導の可否を判断し、必要に応じて対面での対応を促す必要があります。
出典:オンライン服薬指導の実施要領について(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/content/000995230.pdf)
オンライン服薬指導実施の流れ
オンライン服薬指導の導入から実施までの流れは、以下のとおりです。
1.システム導入と環境設備
オンライン服薬指導を開始するにあたり、まずは適切なオンライン服薬指導システムの選定と導入が必要です。患者さんの利便性はもちろんのこと、薬局側の運用負荷、セキュリティ面、既存のレセコンシステムとの連携などを考慮に入れる必要があります。
2.患者さんへの事前案内と受付
オンライン服薬指導を希望する患者さんがいた場合、また患者さんから問い合わせがあった場合は、予約方法や処方箋の提出方法、薬の受け渡し方法などの案内を行います。
3.処方箋の確認と調剤
処方箋の受け渡し方法には2種類あります。一つは、クリニックや病院から薬局へ処方箋を送る方法、もう一つは患者さん自らが電子処方箋サービスやスマートフォンのカメラ機能などを使って直接薬局に処方箋を送る方法です。処方箋を受け取ったら、速やかに内容を確認し、調剤を開始します。
4.オンライン服薬指導の実施
予約日時になったら、患者さんとシステム上で接続し、オンライン服薬指導を開始します。対面での服薬指導と同様に、薬の効果や副作用、服用方法、注意点などを丁寧に説明します。
5.決済と薬の交付
オンラインで決済をしてもらい、患者さんの希望に合わせて処方薬を自宅まで配送、または患者さんに来局いただき対面でお渡しします。
「Wemex オンライン服薬指導」では、画像データによる処方箋の受付から服薬指導、オンライン決済までを行うことができます。ご興味のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
参考:オンライン診療の利用手順の手引書(処方薬の受け渡し方法)(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/content/001241872.pdf)
オンライン服薬指導を導入するメリットとデメリット
オンライン服薬指導には、メリットとデメリットの両方があります。それぞれについて見ていきましょう。
メリット
オンライン服薬指導の導入は、薬局と患者さんの双方に大きなメリットをもたらします。
患者さんにとっては、移動時間や労力の削減、そして薬局での待ち時間の短縮により、負担が大幅に軽減されます。特に足腰が弱い方や介助が必要な方にとっては、その効果は絶大です。
また、薬局内での「密」を避けられるため、インフルエンザや新型コロナウイルスなどの感染症対策にも貢献します。
自宅など好きな場所で周囲を気にせず服薬指導を受けられることから、プライバシーが気になる方でも利用しやすいでしょう。
また、薬局側にもメリットがあります。遠隔地や外出が困難な患者さんにも対応できるため、集患の拡大が可能です。特に高齢者や子育て中の方、在宅療養中の方にとっては、利便性が高く継続的な利用が期待できます。
薬歴管理システムや予約システムと連携し、事前に患者情報を確認できるため、より質の高い服薬指導を行うことも可能です。
デメリット
薬局側がいくらオンライン服薬指導を行う環境を整えても、患者側がスマートフォンやパソコンに使い慣れていないと意味がありません。状況によっては、オンライン服薬指導を実施できないこともあります。
お薬手帳の確認が難しいこともあり、細かな飲み合わせをチェックできないこともあるでしょう。薬を実際に受け取るまでにタイムラグが生じたり、配送料の支払いが必要だったりすることもデメリットです。
オンライン服薬指導で患者さんの負担軽減に
オンライン服薬指導は、スマートフォンやパソコンなどを用いて実施する非対面の服薬指導のことです。0410対応は時限的な措置でしたが、2023年8月1日以降は、改正薬機法にもとづき、ビデオ通話機能を備えた情報通信機器を用いたオンライン服薬指導が原則となりました。
「Wemex オンライン服薬指導」は、患者さんと薬局双方の利便性を追求し、薬局業務の効率化をサポートするシステムです。患者さんはスマートフォンやパソコンがあれば、場所を選ばずに自宅などから服薬指導を受けられます。
厚生労働省が定める3省2ガイドラインに準拠したセキュリティ対策を実施しており、安心してご利用いただけます。
オンライン服薬指導システムの導入をご検討中の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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