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企業健康経営 人事・総務 2025.07.18 公開

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ラインケアでは何を行うべき?実施するメリットや注意点も解説

企業が従業員のメンタルヘルスケアを推進するうえで重要な取り組みの一つが「ラインケア」です。管理職や上司が部下の変化にいち早く気づき、適切に対応することで、職場全体の生産性向上や離職防止につながります。しかし、「具体的に何をすればよいのかわからない」と悩む方も多いのではないでしょうか。本記事では、ラインケアの基本や実施するメリット、注意点についてわかりやすく解説します。

※本内容は公開日時点の情報です

#労務管理

目次

ラインケアとは

ラインケアとは

ラインケアとは、職場の管理監督者が部下のメンタルヘルス対策を行う取り組みです。「ライン」とは、指揮命令系統上の管理監督者(たとえば部長や課長など)を指し、直属の上司が中心となって実施することから、この名称がつけられています。

管理監督者は日常的に部下と接し、業務の指示やサポートを行う立場にあります。そのため、部下の様子に変化があった場合には、日々のコミュニケーションを通じて早期に気づくことが期待されています。

また、厚生労働省は「労働者の心の健康の保持増進のための指針」において、4つのメンタルヘルスケアの推進を提唱しています。ラインケアはそのうちのひとつです。

関連記事:メンタルヘルスケアの基礎知識|4つのケアと3つの予防策

ラインケアが必要な理由

ラインケアを担う管理監督者は、その必要性をしっかり理解しておくことが重要です。ここでは、主な理由を解説します。

メンタルヘルス不調の増加に対応するため

近年、メンタルヘルス不調を訴える労働者が増加しており、精神障害による労災請求や認定件数も年々増えています。

厚生労働省の「精神障害の労災補償状況」によると、令和5年度の精神障害に関する労災請求件数は3,575件、決定件数は2,583件、うち支給決定件数(労災認定件数)は883件でした。令和元年度の支給決定件数は509件であり、ここ数年で大幅に増加しています。

このように、メンタルヘルス対策は社会的課題となっており、ラインケアの重要性が高まっています。

安全配慮義務を果たすため

安全配慮義務は労働契約法第5条に規定されており、使用者は労働者がその生命や健康を守りつつ働けるよう必要な配慮をする義務があります。これは、怪我の防止など物理的な安全だけでなく、精神的健康の保持・増進も含まれます。

安全配慮義務違反自体に直接的な罰則はありませんが、違反が認められた場合は損害賠償請求などの民事責任を問われるリスクがあります。そのため、ラインケアの実施が重視されています。

関連記事:安全配慮義務とは?根拠となる法律や事例、取り組み方を解説

ラインケアで管理監督者が行うべきこと

ラインケアを実施している職場では、管理監督者の対応次第で部下のメンタルヘルス不調を未然に防ぐことが期待できます。では、管理監督者は具体的にどのようなことを行うべきか見ていきましょう。

部下の異変に気づいて対応する

日頃から部下の様子に関心を持ち、普段と異なる変化がないか注意深く観察しましょう。たとえば、遅刻や欠勤が増えたり、表情や言動に元気がなくなったり、会話が減ったりする場合は注意が必要です。

また、仕事の能率が落ちたり、判断力や思考力が低下するなど、これまでと違う行動が見られた場合も、メンタルヘルス不調のサインかもしれません。こうした変化に気づいたら、必要に応じて、部下に声をかけて話を聞いたり、人事担当者や産業保健スタッフ、産業医など専門家への相談を促したりしましょう。

部下からの相談に応じる

管理監督者は、部下からの相談に真剣に耳を傾けることが大切です。相談を受ける際には、ただ聞くだけでなく傾聴の姿勢を持ち、批判せず受け入れることで、部下が安心して話せる環境を作りましょう。信頼関係を築き、相談しやすい雰囲気を整えることが重要です。

休職中の部下の職場復帰を支援する

すでに休職している部下がいる場合は、安心して職場復帰できるよう配慮しましょう。復職直後から無理をさせず、業務量や就業時間を調整し、段階的に業務に慣れてもらうことが大切です。再発や再休職を防ぐためにも、復職支援の際は産業医や人事担当者と連携しながら進めましょう。

関連記事:復職とは?タイミングと判断基準、注意点をわかりやすく解説

職場環境の改善

職場環境は従業員のメンタルヘルスに大きな影響を与えます。人間関係の良好な職場づくりや、適切な業務負荷の調整、コミュニケーションの促進などに努めましょう。また、従業員に一定の裁量権を与え、サポート体制を整えることで、ストレスの軽減につながります。

ラインケアを効果的にするため企業が行うべきこと

ラインケアを効果的にするため企業が行うべきこと

ラインケアを効果的にするためには、現場の管理監督者に任せるだけでなく、企業全体での取り組みが重要です。ここでは、企業として実施すべき主な施策を紹介します。

ラインケア研修の実施

管理監督者が正しい知識やスキルを身につけていなければ、適切なラインケアは実現できません。自己流では対応が難しい場面も多いため、企業が体系的なラインケア研修を実施することが必要です。

研修内容には、メンタルヘルスの基礎知識、部下の変化に気づくポイント、傾聴や相談対応のスキル、復職支援の方法、ハラスメント防止、カウンセリング機関との連携方法などが含まれます。

関連記事:メンタルヘルス研修はなぜ必要?実施するメリットや効果を高める方法も解説

相談窓口の設置

従業員がメンタルヘルス不調を自覚していても、相談できずに悪化してしまうケースが少なくありません。そのため、社内外に相談窓口を設置し、従業員が気軽に相談できる体制を整えましょう。

社外窓口の方が相談しやすいと感じる人も多いため、両方の選択肢を用意することが理想です。また、設置するだけでなく、従業員への周知徹底や、産業医・保健師など専門家との連携も重要です。

ストレスチェックの実施

ストレスチェックを実施することで、従業員の心理的負担やストレス要因、部署ごとの傾向などを把握できます。普段の様子からは気づきにくいメンタルヘルス不調の早期発見にも役立ちます。

現在は従業員50人以上の事業場で義務付けられていますが、2025年の法改正により、50人未満の事業場でも義務化される見通しです(施行は公布後3年以内)。今後はすべての企業でストレスチェックの準備が必要となります。

関連記事:ストレスチェックは会社の義務!対象者や実施の流れを解説

ラインケアを行うメリット

ラインケアの実施には時間やコストがかかりますが、それ以上に企業や従業員にとって多くのメリットがあります。

メンタルヘルス不調の早期発見

ラインケアを通じて、管理監督者が日常的に部下の様子を観察し、小さな変化にも気づくことで、メンタルヘルス不調を早期に発見できます。深刻化する前に適切な対応ができるため、休職や離職のリスクを低減し、人的損失の最小化にもつながります。

マネジメントスキルの向上

ラインケアを実践することで、管理監督者は観察力や傾聴力などのマネジメントスキルが高まります。また、部下との信頼関係が強化され、職場全体のコミュニケーションやパフォーマンス向上にもつながります。

エンゲージメントの向上

ラインケアが適切に実施されている職場では、従業員が安心して意見を述べられる「心理的安全性」が高まります。これにより、従業員のエンゲージメントが向上し、離職率の低下やチーム全体の生産性向上にもつながります。

ラインケアを導入するうえでの注意点

ラインケアには多くのメリットがありますが、実施にあたっては注意すべき点も存在します。ここでは、主な注意点を解説します。

個人情報やプライバシーへの配慮

管理監督者は、部下との相談や面談で個人情報やプライバシーに関する情報を知る機会が多くなります。これらの情報は、本人の同意なしに第三者へ漏らさず、法令や社内規則を守り、慎重に取り扱う必要があります。

接し方によっては逆効果になるリスクもあり

部下への声かけや相談対応の際、批判的な言動や意見の押しつけは避けるべきです。また、励ましのつもりでも「頑張れ」「気にしすぎだ」などの言葉や、うわべだけの対応は、本人にとって負担やプレッシャーとなり、かえって状態を悪化させることがあります。傾聴と共感の姿勢を大切にし、相手の気持ちを尊重して対応しましょう。

まとめ

ラインケアは、管理監督者が日常的に部下の様子に気を配り、異変に気づいた際には声かけや相談対応を通じてメンタルヘルスケアを行う取り組みです。加えて、休職中の部下の職場復帰支援や、職場環境の改善など、職場全体のメンタルヘルス向上にも寄与します。これらは、近年増加するメンタルヘルス不調への対応や、安全配慮義務の履行の観点からも重要です。

企業としては、管理監督者向けのラインケア研修の実施、従業員が安心して相談できる窓口の設置、ストレスチェックの実施など、組織的な取り組みが求められます。これらの施策は、リスク回避や従業員エンゲージメントの向上、生産性向上にもつながるため、積極的な導入が推奨されます。

ウィーメックスでは、企業向けにメンタルヘルス向上を目的としたストレスチェックサービスを提供しています。結果の分析や従業員向けの問い合わせ窓口の設置など、企業のメンタルヘルス対策を総合的にサポートしていますので、興味があればぜひお問い合わせください。

【法人向け】Wemex ストレスチェック

出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/content/000560416.pdf)
   厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/content/11402000/001276199.pdf)

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